労働法の基礎知識
労働時間の計算
労働時間の計算
労働時間は、労働を提供した時間であり、対価である給与の金額に関わる重要な問題であります。
1日当たりの労働時間については、残業があれば、例え1分であっても、正当な「労働の対価」ですので、30分未満の端数切捨てなどの処理は認められません。
時間外労働手当についても、使用者は労働者に対して、労働基準法第24条の「賃金全額払いの原則」の趣旨に基づき、1分単位で正確に計算し、支給しなければなりません。
※1か月の累計の類型労働時間については、端数処理することが認められています。
「1か月における時間外労働等の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる方法については、労働基準法違反として取り扱わない。」(昭和63.3.4基発第150号)
法に定める労働時間は、1日8時間、週40時間です。
例えば1日の定時が9時~18時で昼休憩1時間(実労8時間)であるとすれば、9時より前の労働や18時を超えた労働は、すべて時間外労働となりますし、週に6日出勤した場合には、その6日目の分が、すべて時間外労働ということになります。
ある日に10時間労働し、翌日を6時間に短縮したとしても、馴らして1日8時間という計算をすることは出来ず、あくまで1日8時間を超えた部分は、時間外労働となります。
※変形労働時間制という例外があります。
1時間遅刻して10時に出勤した場合は、19時まで労働をしたとしても、残業にはなりません。(実労働時間主義)
例えば1日の定時が9時~18時で昼休憩1時間(実労7時間)であるとすれば、1日当たり1時間までの残業は、法内残業といって、割増では無い残業代が発生し、1時間を超えた残業については、時間外労働として割増賃金が生じます。
また、その場合で残業がなかったとしても、週に6日出勤だった場合には、1日7時間×6日=週42時間労働となり、2時間分の時間外労働ということになります。
1週間のカウントは、特に就業規則に定めがない場合、日曜日から土曜日までを1週間として計算します。
労働基準法第37条第1項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令(平成6年1月4日政令第5号)
内閣は、労働基準法(昭和22年法律第49号)第37条第1項の規定に基づき、この政令を制定する。
労働基準法第37条第1項 の政令で定める率は、同法第33条 又は第36条第1項 の規定により延長した労働時間の労働については2割5分とし、これらの規定により労働させた休日の労働については3割5分とする。 |
労働基準法施行規則 第20条
法第33条又は法第36条第1項の規定によつて延長した労働時間が午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に及ぶ場合においては、使用者はその時間の労働については、第19条第1項各号の金額にその労働時間数を乗じた金額の5割以上(その時間の労働のうち、1箇月について60時間を超える労働時間の延長に係るものについては、7割5分以上)の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
2項 法第33条又は法第36条第1項の規定による休日の労働時間が午後10時から午前5時(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時)までの間に及ぶ場合においては、使用者はその時間の労働については、前条第1項各号の金額にその労働時間数を乗じた金額の6割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。 |
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