労働法の基礎知識
懲戒解雇
懲戒解雇
「お前は、もうクビだ!今すぐ出て行け!」
「もう、明日から来なくていい!」
などなど。
懲戒解雇とは、いわゆる「クビ」のことですが、労働者の違反行為に対する懲罰として行われる処分の一種であり、企業秩序を著しく乱した労働者に対して行う最も重
い懲戒処分のことをいいます。
例えば、会社のお金や商品を盗んだとか、横領したとか、お客様を殴ってケガをさせた、または、無断欠勤が続いている、など、誰が見てもやむを得ない場合もあるかと思います。
懲戒解雇は、即日解雇で予告手当も無く、退職金も支給されない、等、労働者にとっては非常に厳しい処分であるため、それ相当のやむを得ない事情で無ければ、認められません。
法令で定められている解雇禁止事由に抵触しないことや、「客観的合理性」「社会的相当性」があることは当然として、懲戒権や解雇権の濫用では無いといえなければなりません。
労働契約法第15条
「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効となる。」 |
労働契約法第16条
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 |
懲戒解雇の正当理由と認められる場合
懲戒解雇の理由として認められる理由としては、以下のようなものがあります。
- 窃盗や横領、傷害など、刑法犯に該当する行為があった場合。
- 賭博などによって職場規律や風紀を乱し他の労働者に悪影響を及ぼす場合。
- 当該業務に必要となる資格や免許を有していないなどの経歴詐称。
- 正当な理由なく2週間以上の無断欠勤して出勤の督促にも応じない場合。
- 遅刻や中退が著しく、再三の注意や処分によっても改善されない場合。
- 他の事業所へ転職をし、労務を行なえない場合。
よって、単に
「うちの会社にあわないから」
「営業成績が悪いから」
「向上心やヤル気が感じないから」
などという、漠然とした抽象的な理由ではダメなのです。
また、労働基準監督暑長から「解雇予告除外認定」というものを受ければ、「解雇予告手当」を支払わないで即時解雇することが可能ですが、この認定を受けるためには、条件が決まっており、簡単に受けられる訳ではありません。
そのため、懲戒解雇の場合であっても、大半の場合、30日前に予告するか平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。
懲戒解雇が認められるために必要な要件
懲戒解雇が認められるためには、以下のような要件を満たしている必要があります。
- 就業規則に懲戒解雇になる場合の具体的な理由が明文で規定されていること。
- 就業規則に定めてある懲戒処分内容が、周知されていること。
- 適正な手続きに基づいて処分が行われていること。
- 他の類似事案と比較して、処分内容が過度に重いなど平等性を欠いていないこと。
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