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労働法の基礎知識

労働法の基礎知識

賃金

賃金とは

賃金とは、使用者が労働者に対して、労働に対する報酬として支払う対価のことをいいます。


労働基準法(労基法)では「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と定義されています(労基法第11条)。


賃金は労働者の労働の対価であるが、賃金体系(各労働者の賃金に関する基本給や各種諸手当の構成)については、雇用する会社や労働内容によって大幅に異なります。


体系的には「属人給型」「仕事給型」「総合給型」という3つの「型」に類型化されますが、一般的には、様々な要素が複合的に考慮されることが大半です。


基本給は月給、日給あるいは時給などの形で金額が決まっていて、通常は給料や給与という形で金銭によって給付されます。


賃金には、以下の3つの要素があります。

  1. 企業活動の費用
  2. 従業員の生活費
  3. 労働の対価

また。賃金に当てはまらないものとしては、以下のようなものがあります。

  1. 任意的恩恵的給付
  2. 結婚祝い金
    病気見舞金
    弔慰金
    退職金
    賞与等の一時金など
  3. 福利厚生給付
  4. 使用者が福利厚生のために支給する利益または費用
    、 資金貸付、金銭給付、住宅貸与、運動施設、レクリエーション施設など
  5. 企業設備・業務費
  6. 作業服、作業用品代、出張旅費、社用交際費など
    ストックオプションやチップ等については「使用者が労働者に支払う」ものではないため、賃金ではないとされています。

ただし、退職金や賞与、家族手当、住宅手当等は労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給要件が明確にされ、使用者に支払い義務がある場合は労働の対償として賃金と取り扱われます。
同じく通勤手当または通勤定期券は業務費ではなく、支払い基準が明確なかぎり賃金として取り扱われます。


最低賃金とは

最低賃金とは、事業主(経営者・雇い主)が労働者に対して最低限支払わなければならない賃金のことで、「最低賃金法(昭和34年4月15日法律137号)」によって定められた制度です。


この最低賃金法は、全労働者及び全賃金に対して適用されるため、正社員はもちろんのこと、アルバイト・パートや派遣社員といった非正社員など、勤務形態に関わらず最低賃金以上の給料を支払わなければなりません。
ただし、交通費(通勤手当)や残業代(時間外手当)は含まれません。


また「試用期間中の者」や「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」といった一部例外も設けてあり、最低賃金については、毎年、厚生労働省の「中央最低賃金審議会」が厚生労働大臣へ引き上げの答申を行い、それらを各都道府県の審議会がそれぞれの最低賃金を定めています。


割増賃金とは

割増賃金(わりましちんぎん)とは、使用者が労働者に時間外労働・休日労働・深夜業を行わせた場合に支払わなければならない賃金です。労働基準法(昭和22年法律第49号)第37条に規定されています。


ただし、割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金(別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金)は算入しません。




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